2011年01月01日
あけましておめでとうございます。
皆さま、良いお年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
本年もJ-horsemanをご愛読のほどよろしくお願いいたします。
さて、大晦日の昨日は牝馬が元気だというお話をしました。
明けてブエナビスタは5歳、ゴルディコヴァは6歳を迎えますが、
2011年、今年も元気な姿をターフに見せてくれます。
それに引き替え牡馬陣は、
英ダービー&凱旋門馬のワークフォースの現役続行が救いですが、
他の有力馬は例年どおり早々と引退を決めてしまいました。
有力馬というのは3歳馬がほとんどを占めています。
毎年毎年、そのたびにリセットしてリスタートするわけですから、
ファンの興味を持続させるのは相当に難しい。
なぜ、こんなことになるかというと競走馬として稼ぐより、
種牡馬ビジネスのほうが分がいいからです。儲かる。
ヨーロッパ、アメリカなど競馬先進国は
凱旋門賞、ブリダーズCを除けばおしなべて賞金が安い。
種牡馬需要の高いマイルカテゴリーのレースを見ていくと、
ヨーロッパ最高峰のジャックルマロワ賞の1着賞金が約3700万円。
これでも高いほうなのですが、日本のG3にも届かないレベルです。
ちなみに日本の安田記念、マイルチャンピオンシップは1億円。
英チャンピオン決定戦クイーンエリザベス2世Sは1900万円余、
日本でいうと1600万級より少し高くオープン特別より低い、
それでいてメンバーは強いのですから稼ぐのも楽ではありません。
だから欧米では早々と勲章を奪取して価値を高め、
その価値を傷つけないうちに種牡馬入りするのが常識です。
アメリカでは毎年3万数千頭のサラブレッドが生産されており、
ヨーロッパ全域で2万頭以上が誕生しています。
2万頭近い生産規模のオーストラリアは南半球ですから、
シャトル種牡馬というビジネスも可能になります。
アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアの市場は
それぞれが孤立しているわけではなく単一といっていいほど、
深い絆に結ばれた交流があり市場は8万頭規模に上ります。
日本の場合、生産頭数は年間7000頭強ですから市場の広さが違う。
賞金が高くても種牡馬市場が一国限定で極端に狭い日本、
稼ぎに稼いで余生は種牡馬というのがサラブレッドの理想型です。
賞金は安いがワールドワイドな市場規模を擁する欧米、
早くに価値を高め種牡馬ビジネスで稼ぎまくるのが常道です。
日本で余生ぽくっても向こうではここからが本番みたいなようです。
閑話休題。JRAの売上が下がり続けています。
日本の世界的に群を抜く高額賞金は売上の高さが支えています。
しかし売上ピーク時の1997年から4割近く減少した事実があります。
いずれ遠からず賞金の大幅減額は避けられないでしょう。
となれば、まず最初に一流馬の早期引退という欧米化が進む、
でも市場の狭さゆえ種牡馬ビジネスはビジネスは成り立ちにくい、
一流馬不在でレースの盛り上がりが薄れ競馬がつまらなくなる、
ますますファン人口が減少し売上は急落する、
いっそう賞金は下がり続け馬主になろうという人も激減する、
負のスパイラルが猛スピードで進んでいくことになります。
別の言い方をすれば日本競馬システムの崩壊がほの見えます。
元旦から来てくださってありがとうございます。
いきなりくらい話で申し訳ありませんが、
今年はこんな問題にも取り組んでいきたいと考えています。
もちろん夢のあるお話もたっぷりと。
どうぞよろしくお願いします。