2011年07月30日
こんにちは。
先週のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSをG1初挑戦で
見事に制したナサニエルのオーナーはロスチャイルド家です。
世界の金融界に君臨するお金持ちの代名詞のような一族です。
ドイツ語読みでロートシルトと呼ばれることもありますが、
競馬との関わりも深く夏のドーヴィル開催を飾るロートシルト賞は、
一族の競馬への貢献を顕彰して設けられたG1レースです。
毎年8月上旬に行われ今年はマイルの女帝ゴルディコヴァが
このレース4連覇の偉業に挑むべく出走してくるようです。
さて、ロスチャイルド家が有名なのは金融だけではありません。
一族ビジネスの中興の祖ネイサンには4人の子供がいました。
その3番目の息子は父や兄とは違ったビジネスを志します。
ボルドーワインの最高級品産地シャトー・ムートンを買収、
その後シャトー・ラフィットも加えワイン界に君臨します。
その3男坊の名をナサニエル・ド・ロスチャイルドといいます。
ナサニエルが亡くなって140年ほどたちますが、
そのチャレンジ精神はサラブレッドにも引き継がれたわけです。
オーナーブリーダーとしてのロスチャイルド家の歴史は長く、
ナサニエルが在命中の19世紀にはかなり活発に動いています。
20世紀に入ると名馬ブラントゥームを輩出し、
彼は創設間もない凱旋門賞をデビュー9連勝で制覇しました。
その後、一族はエクレールオショコラ、エクスビュリと
2頭の凱旋門賞馬を出し、隆盛の頂きに上りつめます。
この隆盛のさなかに生まれ引退後は社台ファームにやって来て、
今日の社台の基礎を築いた名種牡馬がガーサントです。
このロスチャイルド家の末裔は種牡馬としても成功しましたが、
ダイナカールの母の父として血を残し、
名牝エアグルーヴを経て数多くの活躍馬に伝えられています。
先ごろのセレクトセールで 『エアグルーヴの2010』 が
高額で取引されて話題になりましたが、そのうちのいくらかは、
ロスチャイルド家から伝わった物語が貢献していたのかも。
きょうも来てくださってありがとうございます。
さて、今季のロスチャイルドファミリーは絶好調です。
ナサニエルのキングジョージ制覇は大きなサプライズでしたが、
パリ大賞に出走したメアンドレは2分26秒63の快時計勝ち、
2頭そろってエクスビュリ以来52年ぶりと半世紀以上の時を経て、
凱旋門賞を栄光めざすことになりそうです。
今夜、グッドウッドのナッソーSで牝馬中距離女王をめざす
クリスタルカペラもファミリーの一員です。頑張りましょう。