| 居丈高に競りかけてくるマクトゥーム一族に 「こんなところで油を売っていないで、 国に帰って油を売ったほうがいいんじゃないか」 と啖呵を切ったという痛快なエピソードなど 今回からは山本オーナーと藤澤調教師の 世界を相手にした戦いの記録をおおくりします。 |
駿 | “夢のパートナー”とおっしゃったが、 ホースマン山本英俊オーナーを語る場合、 どうしても欠かせないのが ホースマン藤澤和雄調教師の存在だと思います。 このコンビはまさに一枚岩、固い絆に結ばれて、 めざす高みに向かっているわけですね。 |
俊 | それが必ずしも一枚岩というわけでもない(笑)。 私は繰り返しお話したように、 ヨーロッパのホースマンに学ぶところから 競馬に入っていますから、 凱旋門賞を最高のレースだと思っている。 それ以外は食わない偏食家みたいなものですね。 |
駿 | 藤澤さんは違うんですか? |
俊 | 私なんかより夢が大きいというか、 雑食系というか(笑)、 いろいろなレースに興味を持っていますね。 凱旋門はもちろんだけれども、 エプソムダービーやキングジョージ (キングジョージVI世&クイーンエリザベスS) にも挑戦したいし、 ケンタッキーダービーだって勝ちたい。 欲張りなんですよ(笑)。 |
駿 | それはきっと、馬主である山本さんと 調教師である藤澤さん、それぞれの立場の 違いがそうさせるんだと思いますね。 |
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俊 | なるほど、さすが清水さん、 鋭いところを見ていらっしゃる。 そのとおりでしょうね。 |
駿 | それがわかっているから、 山本さんは凱旋門向きじゃない馬も たくさん買っていますよね。 自分の夢を大切にするのはもちろんだが、 パートナーの藤澤さんの夢も 尊重するということですね。 まぁ、それでなくちゃ パートナーシップなんてものは 成立しようがないですものね。 |
俊 | はい、私の力の及ぶ限りは そうしていこうと思っています。 |
駿 | このパートナーシップは 一枚岩ではないかもしれないが、 磐石の強さがうかがえます。 |
俊 | 私はよくいうんですが、 一枚岩より二枚岩のほうが強いだろうって(笑)。 ベクトルさえ違っていなければ絶対にそうですよ。 |
駿 | 毛利元就の三本の矢じゃないが、 それはいいえて妙な表現ですな(笑)。 しかし下世話な話、 ホースマンへの道も半端じゃない単位の お金がかかりますよね? |
俊 | それは仕方ありません。 |
駿 | 一番高い買い物はいくらだったんですか? |
俊 | 私と藤澤先生のコンビは、一応、 世界中何カ所かでセリのレコードを持っています(笑)。 でも、セリはお金がかかるのは当然ですよ。 タタソールズとかへいってシェイク・モハメドとか クールモアなんかを相手に競らなくては いけなかったりするわけだから当然です。 あるセールで競り合いになっとき、 シェイクの関係者だか本人だかが 「日本のオーナーにもお金を持っている人がいるんだ」 といったらしいんですね。 |
駿 | バカにしているね。 |
俊 | こちらは銭金でやっているわけじゃない。 競馬の価値はお金に換えられないと思っていますから、 さすがにカチンと来ましてね。 「こんなところで油売ってないで自分の国に帰って 油を売った方がいいんじゃないか?」って(笑)。 |
駿 | うまいね。うまい。 小気味のいい啖呵を切っちゃった。 でも、ドバイワールドCに挑戦するのに そんなこといっちゃってよかったのかな?(笑) |
俊 | まぁ、冗談ですけどね。 |
駿 | シェイクに対してもそんな冗談を言えるオーナー というのはそういないと思うけど、 ジョーク好きというのは藤澤さんもそうですね。 そういうところでも気が合う(笑)。 いわば底抜けコンビ、あちこちでいろんな エピソードを残しているんでしょう(笑)。 |
俊 | そう、そう。都市伝説じゃないんだけど、 あちこちに藤澤伝説というのがあるようですね(笑)。 |
| (あしたにつづく) |