酔いどれ対談
第35回
余暇の時代、そして競馬(3)
 

 

人生に必要なもの
それは勇気と想像力、そして少しのお金だ
名優チャプリンの一言に
インスパイアされたおふたりは・・・。

いま成駿さんはチャプリンの名言を引かれて
非常に大切なことをおっしゃったように思うんですが・・・?

駿

人生にキチンと立ち向かう勇気があって、
人並みの想像力を備えていて、少しお金があれば、
いまの世の中、相当に楽しいはずですね。

付け加えれば時間も、ですね。
勇気と想像力と少しのお金、
あと自由に使える時間があれば、
人の一生ってバカにしたものじゃないだろう
って気がしませんか。

 

 

駿

人間の歴史って、個人が自由に使える時間って部分で、
けっこう苦労していますからね。

仮に400年か500年くらいのスパンで考えると、
戦国時代くらいに遡りますが、
信長とか秀吉とか家康とか、
戦いのない国をつくるために戦争を繰り返していた。
庶民は食うや食わず、命の保証さえない。
自由な時間どころじゃなかった。
いま我々は、暇があれば金がない、
金があっても暇がないって贅沢なことをいっているが、
そういうのは最近になってからですね。

駿

家康が天下を取ると、
武器を使った戦争はなくなったが、鎖国をやりますね。
結果的に西欧の科学技術から取り残されます。
鎖国のせいで科学技術の恩恵を受けられなかった日本は、
生産力も上がらず、本来なら治る病気も治らず、
庶民が自由に使える時間とお金の両方を手にするのは
夢のまた夢・・・。

信長、秀吉は世界史的にはルネサンス時代の人ですね。
信長なんかは典型的ですが、
西洋の文物を積極的に取り入れる姿勢がありました。
ところが家康、秀忠、家光と
代を重ねるごとに閉鎖性が強まっちゃう。
その一方で海の向こうでは産業革命が起きます。

駿

1760年ごろだから江戸中期ですね。
その頃の日本は吉宗の孫の家治が将軍で、
賄賂政治で悪名高い田沼意次が老中を務めていた。
天明の大飢饉に襲われたりして、庶民は余暇どころじゃない。
食うにこと欠くありさまで、どんどん差が開いていきます。
この少しあとの1780年には最初のダービーが開かれていますね。

日本ダービーは1932年だそうですから、
実に150年以上も違います。
余暇は国力の反映という見方をすれば、
日本は西欧にそれくらい遅れていたことになりますね。

 

(このつづきは18日(月)に掲載します)

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