酔いどれ対談
第26回
ホースマン藤澤和雄師を語る(4)
 

 

大目標のベルモントS直前に
思わぬアクシデントが…。
ホースマン藤澤和雄が
そのとき下した決断とは…?

駿

ピーターパンSを快勝して、
ベルモントSでも大いに期待をかけたわけですが、
直前で回避ということになってしまいました。
あれは残念でした。

ピーターパンSを勝った後も
そのままベルモント競馬場に滞在し、
本番のベルモントSを目指しました。
直前までは順調にいっていたのに、
レース当日の朝に正式に出走を
回避することになりました。
挫跖ということでした。

駿

伝え聞くところによると
それほどの重症ではなかったと…。

そうですね。藤澤先生も
痛み止めを打てば使えると言っていました。
でも『レースを尊敬しているのなら、
そしてカジノの将来を考えたら
ここは一つ我慢しましょう』って…。

駿

さすが藤澤だね!
痛み止めを打てば使えるくらいの状態なら、
普通は『せっかくアメリカまで来たんだから…』
って使っちゃうだろうに。


 

だと思います。
症状が軽いだけに私もショックでした。
でも、これには後日談があるんです。
帰国した後、あの程度の挫跖なら
すぐに治るだろうと放っておいたら
なかなか歩様がよくなってくれない。
それで、患部を切ったら大量の膿が出てきたそうです。
藤澤先生がいうには我々が考えていた以上に
カジノには苦しい思いをさせてしまって
いたのだろうって…。まぁ、そういう意味でも
ベルモントSで勇気ある撤退をしたのは正解でした。
藤澤先生の勇気ある決断に感謝しています。

駿

うん、そういうことなんでしょうね。
ただ、今でこそ、そういえるけど、
カジノの出ていないベルモントSを観るのは
何とも複雑な気持ちだったのではないですか?

これもね、実は面白い話があるんです。
レース前後の藤澤調教師の話なんですけどね。
私は『変な男と組んじゃったかな?!』って
一瞬、思ったんですよ(笑)。

駿

それは興味深いですね。
一体どんなことがあったのですか?

 

(あしたにつづく)

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