| くう ねる あそぶ レジャーが飯を食うことや眠ることと同じように 大切にされる時代がやってきた |
駿 | 考えてみると山本さん、 人間ってのは、つくづく業の深い生きものですな。 食うや食わずの時代があったかと思えば、 とりあえず食えても 働きづめに働かせられたときもあった。 ところが、今度はレジャーだという。 どこまでいっても欲の深い存在です。 |
俊 | ええ、そう思いますね。 でも歴史って、ある意味では 欲の流れみたいなものですね。 これは良い悪いじゃない。 食べたいという欲、 これが狩猟や農業を発展させてきたのは 間違いがない。 いろいろな道具や仕組みを発明させた。 病気で死にたくないという切実な願いが、 学問や医療技術を発達させた原動力になった。 先ほどの洗濯機や掃除機も そうした産物のひとつですね。 こうして見てくると、 歴史は人間の欲がつくってきた といえる側面もあるように思います。 |
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駿 | そういうことなんだろうね。 で、いま人間の欲は余暇に向かっている。 濃密で充実した余暇の時間をすごすことが、 現代人の最大の欲望になりつつある、と。 |
俊 | そんな気がしています。 私が尊敬する友人の糸井重里さんは、 そういう時代の空気を『くう ねる あそぶ』、 たった1行のキャッチコピーに凝縮してくれました。 食うこと、寝ること、本能ですね、 遊ぶことにはそれと同じ価値があるんだ、と。 |
駿 | それは凄い言葉ですね。 ま、私の人生なんてのは、 食う、寝る、遊ぶ、以上ですものね(笑)。 遊ぶことにかけては自信がありますよ(笑)。 |
俊 | 清水さんは時代の先をいっていらっしゃる(笑)。 |
駿 | 話が脱線してしまいましたが、 食欲や性欲と並ぶ新しい欲というか本能である遊び、 これをどういう具合に人間の営みとして取り込んでいくか、 山本さんはそういうお仕事をやってらしたわけですね。 |
俊 | そうですね。 世の中の人々のニーズというか、欲ですね。 欲のあり方とか、 その動き方とかをずっと勉強してきました。 人間の根源的な欲とつながらないと ビジネスとしては成功しにくいですからね。 というよりも、そもそも事業として 社会的意義が薄いだろうと考えたんです。 |
駿 | なるほど。 そこまで考えた上での余暇ビジネスなんだ。 |
| (あしたにつづく) |