| 余暇の時代 競馬はどう変わっていくのか おふたりが熱く語り合います |
駿 | ところで山本さん、 人が自分の自由にできる時間が増え、 そこを充実させるために余暇のあり方、 その質が問われる時代になっているわけですが、 そうした中で競馬ってのは どんな変化をしていくんでしょうかね。 |
俊 | 競馬の良さは人と人が、 たとえ見知らぬ仲であろうと、 つながりあえたりするところにあるんじゃないでしょうか。 |
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駿 | つながりあえる? |
俊 | たとえば競馬新聞を読んで勝ち馬を推理する、 そして1枚の馬券を買う。 たったそれだけのことですが、 その背後には馬を生産した 牧場の人たちの願いが潜んでいたり、 育成で苦労した方々のホロ苦い思い出があったり、 調教師や調教助手や厩務員の愛情が息づいていたり、 騎手の並々ならぬ思いがかけられていたりします。 そういういろんな思いがつながりあって 競馬が成立していると思うんです。 そこがわかっていないと推理の面白さも半分ですよ。 |
駿 | そうそう、まったくそのとおりですね。 私の予想の原点は走らせる側の論理で考えることだ って先ほどいいましたが(第8回参照)、 いろんなホースマンたちの思いを知らないことには 予想はできません。 人間心理の綾とか人情の機微とかを読めないと 競馬は面白くありませんね。 |
俊 | 私はヨーロッパのホースマンから 競馬というものは馬の勝ち負けだけじゃなくて 人間としての誇りが試され、 そこで自分が人間として成長していくことができる 素晴らしいスポーツなんだと教えられました。 藤澤和雄先生からは人間の都合だけじゃどうにもならない ホースマンシップのあり方を学ばせてもらいました。 こうした人と人とのつながりが、 私が競馬を通じて得ることができた 最高の財産だと思っています。 |
| (あしたは最終回を掲載します) |