| 名伯楽・藤澤師にして日本ダービー未勝利の現実 厩舎スタッフに負担を強いる海外遠征、 山本オーナーは この上なお海外にこだわるのか? |
俊 | 厩舎スタッフのことを考えれば、 進上金は重要な収入源のひとつですから、 勝てるレース、 それも賞金はできるだけ高いほうがいいのは 当たり前の話です。 今回のアメリカ遠征にしても 葛西さん(調教助手)、手島さん(厩務員)には 言葉に現せないほどお世話になりました。 今度、開業する尾関さん(知人調教師)まで 帯同してくれました。 青木くん(芳行騎手)は付きっ切り、 北村くん(宏司騎手)も日米を往復しながら 追い切りのたびに駆けつけてくれました。 |
駿 | それに海外遠征ともなれば、 日本に残るスタッフにも少なからぬ負担がかかる。 遠征組みの分までやらなければならない。 加えて藤澤厩舎の 押しも押しされぬ番頭格の葛西さんや 大ベテランの手島さんが抜けるのは 人数だけの問題じゃないね。 |
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俊 | ご指摘のとおりだと思います。 私のわがままで みなさんに大変な負担を強いているんだなぁ、 そういう申し訳ない気持ちは いつも心のどこかにありますね。 |
駿 | そういう厳しい現実がある一方で、 行ってみなければわからない 海外競馬のリアルタイムなあれこれを、 山本さんの向こう見ずのお陰で 経験でき蓄積できる。 藤澤厩舎のスタッフも、 そこに意気を感じて 損得抜きでやってくれているわけですよね。 |
俊 | はい、もう頭の下がる思いです。 |
駿 | そういったことの全部をひとつひとつ考えながら、 山本オーナーと藤澤調教師は 眼と眼で壮絶なバトルをやっていた。 考えてみれば凄いことですよ(笑)。 傍から見ると和やかな空気も漂う ニューヨークのレストランかなんかで、 周囲のスタッフに気を遣って顔こそ笑っているが、 腹と腹の中では 歯に衣着せぬ本音をぶっつけあっていた。 その結果、雨降って地固まる、 海外挑戦への志は さらに深いものになったんですね。 |
俊 | もう成駿さんの想像力には 恐れ入るばかりです(笑)。 |
| (あしたにつづく) |