| 費用はかかる、賞金は安い、 それに相手はバカ強い。 海外遠征なんてやるもんじゃないよ。 無念のリタイアに唇を噛んだベルモントS、 その夜、藤澤師と山本オーナーは・・・。 |
駿 | 藤澤調教師のジョークにも一理ありますよね。 コストはべらぼうにかかる。 その見返りである賞金は 日本の常識からすると極端に安い。 相手関係もやさしくない。 それをわかった上で、山本さん、 あなたはなぜそこまで海外遠征にこだわるんだ!? 藤澤さんはそういいたかったのかもしれない。 むしろ山本さん自身の オーナーとしての覚悟のほどを 確認したかったのかもしれない。 |
俊 | そうですね。 私が試されている、 そんな気持ちになったのは確かです。 正直、ムカッとしました(笑)。 もう落ち込んで、へこんでいるわけですよ。 そこに大人気ないことを平気でいう。 なんてオヤジだと腹が立ちました(笑)。 だからこちらも大人気ないのを承知で 座を凍らせるようなことをいっちゃった(笑)。 |
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駿 | 藤澤調教師、本当はこういいたかったと思いますね。 カジノドライヴが無念のリタイアをして、 先ほど(第28回)話に出たビッグブラウン陣営からは 「わざわざ日本から何をしに来たんだ」と 屈辱を浴びせられた。 状況としては最悪ですね。 その中で藤澤さんは、 山本さん、これも競馬のうちだよ、 それがイヤなら さっさと方向転換するのも悪い選択じゃないよ、と・・・。 ところが山本オーナーは藤澤調教師にこう反撃する。 藤澤さん、あんたが何をいおうと 海外遠征をやめるつもりはないよ、 経費がかかろうと、賞金が安かろうと、 相手が強かろうと、そういう問題じゃないんだ。 あんたがイヤなら別のパートナーを探すよ・・・(笑)。 スタッフの慰労会だから、 そうした直接的な言葉で議論できるわけもないが、 ふたりはジョークにまぎらわせ、眼と眼で、 相手の心臓を 鷲づかみにするようなバトルをやっていたんだ(笑)。 |
俊 | さすが成駿さん、ものすごい想像力ですね(笑)。 |
駿 | ハッハッハッ(笑)。 想像力だけが飯の種ですからね。 で、想像力ついでにもう一歩踏み込むと、 山本オーナーは藤澤調教師の一言に、 俺に競馬をやめろというのか、 くらいのショックを受けたわけですね。 |
俊 | はっきりいって、そう感じました。 私は経済的な見返りを期待して 競馬をはじめたわけじゃありません。 だから賞金が高いからといって、 私が日本のレースに勝つことに 野心を燃やすモチベーションにはなりません。 |
駿 | しかし、しかしと、敢えていいますが、 希代の大調教師・藤澤和雄にして まだ日本ダービーを勝っていないとか、 それとは別に名誉だけでは あがなえないものもあります。 厩舎スタッフには 競馬は生活の糧でもあるんですから・・・。 |
俊 | 藤澤先生は、 余計なお世話だって怒りますけれどね(笑)。 ただ・・・、 |
| (このつづきは11日(月)に掲載します) |