| カジノドライヴのいなくなったベルモントS 山本英俊さんと藤澤和雄調教師は それぞれどういう思いで ビッグブラウンの三冠挑戦をみたのか? |
俊 | カジノドライヴは回避することになったけど、 当日、私と藤澤先生は当然、競馬場にいたわけです。 発走時刻が間近に迫った時、私は藤澤先生に 『スタンドでレースを観ましょう』って誘いました。 そうしたら先生は急に『やだ』っていうんです。 |
駿 | レースを観たくないということですか? |
俊 | そういうことです。カジノは出られなくなった。 でもビッグブラウンの三冠がかかっているし、 逃げずに観ましょうよと誘ったけど、 『観たくない』というんです。 私が現地に連れて行った他の仲間は皆、 レースを観るためにスタンドに移動して行ったけど、 藤澤先生は観たくないという。 仕方ないから私はスタンドの中で、 外をみることができない部屋に先生と 二人きりで残りました。そうしたら、 もう本当にスタートするというギリギリの時点で 今度は一転して『レースを観に行こう』と いい出したんです(苦笑)。 |
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駿 | なんだそれは? 本質的な勝負師の血がジッとして いられなくなったということかな? |
俊 | それで結局、レースの観られる席まで移動しました。 そこはビッグブラウンの関係者の隣の席でした。 私たちのカジノはアメリカの馬なら迷わず 使っているくらいのほんのちょっとの挫跖で 出走を回避した。でも、ライバルだった ビッグブラウンは割れている爪をワイヤーで 抑えてまで出走していた。ビッグの調教師は 公開の記者会見で『カジノドライヴが4コーナーを 回る頃、我々は表彰式をしているだろう』 とまでいっていたような人で、私は少々複雑な 思いでレースを観ることになりました。 |
駿 | それはたしかに藤澤調教師も 変な行動だと言われても仕方ないね。 |
俊 | いえいえ、本当に奇妙な行動をとるのは まだこれから先なんですよ。 |
駿 | 最初はみたくないといっていたレースを、 発走直前にやっぱり観るといい出した。 それで急遽ライバル陣営の隣の席に移動した。 これだけでも十分、妙な行動ですけどね…。 |
俊 | いや、このあとの藤澤先生の 態度を聞いたら驚きますよ(笑)。 |
| (あしたにつづく) |