| 予想家のプライドは馬券の当たり外れにはない、 と、キッパリいい切る成駿さん、 今回は“予想の真髄”談義をおおくりします。 |
俊 | もう少しお聞きしてもいいですか。 清水さんは、カリスマ予想家といわれている。 それはよく当るからですよね。 とくに穴馬券がです(笑)。 それなのに自分のプライドは 当たり外れにはないとおっしゃる。 |
駿 | さっきもいいましたが、 競馬は予測じゃなくて研究ですよ。 でなければ、みんな“明日の新聞” みたいなことになっちゃう(笑)。 |
俊 | ずいぶんと昔の映画なんですが、 ルネ・クレール監督に『明日を知った男』 というのがあります。 若い新聞記者がトクダネをものにしようと 張り切っているんだが、 現実は決まりきった現場回りの毎日で、 ちょっとうんざりしはじめている。 そんなある晩、 定年退職した老記者から1枚の新聞をもらう。 それは“明日の新聞”だったという話です。 現実にはまだ起きていないことが、 そこには過去として書かれているわけです。 新聞に載っているレース結果と同じ馬券を買うと、 実際のレースもそのとおりになって大儲けする。 もうトクダネも取り放題になっちゃいます(笑)。 |
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駿 | そうそう(笑)。 まぁ、でも話にはオチがあって、 ある日の新聞の片隅に、 競馬で大儲けした新聞記者が 事故で死んだという記事が出ていた(笑)。 |
俊 | この手の話は、 ちょっとずつ形を変えて 世界中にあるみたいですね。 なぜか共通しているのは、 競馬で大儲けすること(笑)、 その新聞に自分の死亡記事が載っていて、 そのとおりになってしまうこと(笑)、 ブラックユーモアですね。 |
駿 | そういう話があちこちにあるというのは、 世界中みんながそれほど馬券を当てたいと 強く思っているんでしょうね。 同じ競馬好きとして その気持ちはよく分かりますよ。 でも残念ながら、 私には“明日の新聞”がつくれない(笑)。 |
俊 | よくよく考えると“明日の新聞”で 馬券を買っている男がいたとして、 みんなすぐに真似ますよ。 そもそも競馬自体が成立しなくなっちゃう(笑)。 |
駿 | 百歩も千歩も譲って仮に成立するとして、 でもね山本さん、私にいわせりゃ、 当たると決まっている競馬が面白いわけがない。 ワクワクもしなけりゃ、ドキドキもしない。 誰も競馬をやろうなんて思わなくなっちゃう。 そうなると私は廃業ですよ(笑)。 |
俊 | 私も馬主をやめます(笑)。 多くの人をワクワクドキドキさせてこそ 競馬ですからね。 清水さんの予想が人気のあるのも、 行間からドキドキワクワクが 伝わってくるからですよね。 |
駿 | そうだとうれしいんですが…。 |
俊 | たとえば18頭立てのレースがあるとします。 そこにはいろんなワクワクドキドキが あると思いますが、 そのエッセンスというか真髄をギュッと抽出して 最高のワクワクドキドキに 表現するコツってあるんでしょうか? |
駿 | 私なりの予想のスタンスという意味なら、 それはあります。 |
| (あしたにつづく) |