酔いどれ対談
第8回
"予想の真髄"を語る(中編)
 

 

ワクワクドキドキがあってこそ競馬、
その真髄をギュッと抽出して
伝えるのが予想家の仕事
成駿さんの予想の極意とは…?

予想のスタンスといわれると、
清水さんの予想戦略の基本理念
ということになりますね。

駿

そうですね、
そう考えてもらっていいと思います。
で、私はいつも“走らせる側の論理”
で考えろといっているんです。

“走らせる側の論理”ですか…?

駿

馬の強い弱いはアテにはなりません。
出遅れたり、展開ひとつで
強いはずの馬が弱くなる。
その逆もよくありますね。
いわばほとんどが偶然の領域です。
偶然は予測できないし、
しても無意味です。
だからそうじゃなくて、
山本さんの言葉でいえば、
必然の糸をたぐって仮説を立てていくことで、
レースを見ようという立場ですね。
馬の強い弱いがアテにならないということは、
極端にいえば、馬が走るわけじゃなくて、
その馬を走らせる人たち、
それは馬主かもしれないし、
調教師や厩務員だったり、ときにはJRA
だったりするかもしれないんですが、
そういった立場の人たちの
思考回路を分析することで、
ある程度はレースが見えてきます。


 

ちょっと過激かもしれない(笑)。

駿

そうなんです。
最近はそれほどでもないんだが、
昔はJRAによく叱られましたよ。
馬が走るんじゃなくて人が走るなんて、
清水、おまえ馬鹿いってんじゃないぞ、
ってね(笑)。

ハッハッハッ。

駿

もう少し分かりやすくいいましょうか。
人というのは見識のことなんです。
馬主の見識、調教師の見識、
厩務員、騎手の見識、
立場によっていろいろありますが、
レースを左右するのは
それぞれの見識だと思っています。

見識ですか…。

駿

馬には一頭一頭に個性がありますね。
その個性を引き出すために、
レースを選んで、調教を重ねて、
騎手に騎乗依頼してと、
いろんな努力を積み上げていくわけです。
このプロセスのひとつひとつに
関係者の見識が反映されます。
見識とは、それぞれの馬が
どういう個性を持っているか、
そのポテンシャルを引き出して
最高のパフォーマンスを
発揮させるにはどうすべきか、
そういうことです。
見識が間違っていると馬は走らない。
走れません。

うちにもそういうのがいますよ(笑)。
小回りのダート1700m
じゃなきゃ走らないとか(笑)。

駿

そういうことですね。
それはそういうレースを
選んでくる調教師が偉い。
個性ってのは、
基本的なところは変わらなくても、
一生涯ずっと同じまま
というのはあまりないですね。
未勝利馬であれG1馬であれ、
そういうところは丁寧に
見てあげなくてはいけない。
それから、
もちろん競馬は相手関係ですから、
必ずしも個性といっていられない場合も
あります。距離がちょっと長いが
この相手なら勝てそうだとかね。
そこでまた問われますよ。
そういうレースに出走させるも見識、
させないも見識なんです。

それぞれの関係者が高い見識を持って
馬を使っていけば、
自然とレースは伯仲して、
ハイレベルなワクワクドキドキが
実現できますね。

駿

それをファンは待っているんですよ。

 

(あしたにつづく)

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