酔いどれ対談
第13回
世界は見えてきたか(前編)
 

 

ヨーロッパで走る血を求めて
サドラーズウェルズ産駒に夢を託したが…、
山本英俊オーナーの飽くなき挑戦は
まだまだつづく!

駿

しかし競馬って、
奥が深いというか、本当に難しいね。

まったくです(笑)。

駿

それで山本さんのチャンレンジは、
いったんは失敗する、
失敗ということでいいんですか?

はい(笑)。失敗ですね。

駿

サドラーズウェルズという
本流中の本流の血統で挑んだが、
ヨーロッパではべらぼうに走る血でも
日本の固い馬場に行く手を阻まれた。
では、オーナー山本英俊は、
あくまでサドラーにこだわりつづけるのか、
それとも方向転換するのか、
非常に悩まれたと思うんですが…?

ええ、悩みましたね。
私はオーナーで私が資金を出して
馬を購入するわけですが、
競馬は私ひとりのものじゃない。
直接的に関係する人だけでも、
藤澤先生、調教助手や厩務員の皆さんも
ずっとつながっているわけです。
ジョッキーだって、
走らない馬に乗りたくないでしょ(笑)。

駿

馬主というものは、
そこまで考えるものですか。


 

先輩馬主のみなさんもそうだと思いますよ。

駿

なるほど。
ということは、山本オーナーとしても
方向転換を考えざるを得なくなった。

そうですね。いろいろと考えました。

駿

まず条件は、
あくまで目標は向こうだから
ヨーロッパでパフォーマンスを
全開できることが前提ですね。
それから日本でデビューさせて、
これならと自信をもてる性能を
確認することも欠かせない。
カジノドライヴは血統的にも
非の打ちどころがなく、
類いまれな素質を新馬戦だけで確信できたが、
そういう馬ばかりじゃない。
できたら重賞のひとつくらいは勝って
向こうに乗り込みたい、
日本で走り、ヨーロッパでさらに走る、
世界中で通用するワイルドカード
(トランプのジョーカー)みたいな
血統はないものかと、
山本オーナーは思索をめぐらしたわけだ。

おっしゃるとおりですね。

駿

それで見つかりましたか?
ワイルドカードは。

あくまで仮説なんですが、
キングマンボが
面白いんじゃないかと思いました。

駿

ホォー、キングマンボですか…。

 

(あしたにつづく)

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