| ドーヴィル繁殖馬セールで 世界のクールモアと熾烈な競り合いの末、 ついに念願のマンダララを手に入れた 山本オーナーの真の狙いとは…? |
駿 | 山本オーナーはヨーロッパ最強牝馬の 母マンダララをフランスのドーヴィルまで追いかけて、 世界のクールモアと一騎打ちで競り合った末、 ついに念願を果たしました。そこまで山本さんに こだわらせた理由はなんだったんですか。 |
俊 | マンダララの仔であるマンデシャが アガ・カーン殿下による芸術的なまでに みごとな配合の持ち主だという話はしましたね。 その血統表を繰り返し見ているうちに、 ある日、フッと気がついたんですよ。 |
駿 | ホーッ、それはなんだったのですか。 |
俊 | ディープインパクトです。 |
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駿 | え? ディープがどうかしたんですか。 |
俊 | マンダララにディープをつけると、 マンデシャが持っているニックスにきわめて 近いニックスが成立することに気がつきました。 |
駿 | ニックスですか。 ニックスというのは近しい血縁関係はないけれど、 走る馬を出す上で非常に相性の良い血統同士 ということですね。私は血統の深いところは 詳しくないので、ちょっと説明してもらえますか。 |
俊 | 少しややこしいんですが、 マンデシャの父系は快速一族のダンチヒ系で 一見スプリンター血統のようですが、 注意深く見ていくとマンデシャは サーアイヴァーとカットラス、 シャーペンアップとデリングドゥの 2本のニックスを持っています。 さすがアガ・カーン殿下、 みごとな配合で底力を与えています。 たまたま突然変異が起きたというのではなくて、 狙って創りあげたものですね。 |
駿 | あえて父系に快速血統を配しながら、 2400mもこなす底力を狙って創りあげたとなると、 これは並大抵のセンスじゃありませんね。 山本さんが芸術品というのも良くわかります。 それでディープインパクト×マンダララは マンデシャと同じようなニックスを持つことになる、 それもディープは凱旋門賞を勝っても 不思議ではない力を持っていたから、 これは相当な大物に出る可能性があるんじゃないか ということですね。 |
俊 | これはあくまでも私たちの仮説なので、 実際にはどう出るかわかりません。 まぁ、私はこの仮説に賭けてみようと考えたわけです。 マンデシャとディープが同じ日に同じロンシャンを 駆けたというのもなにかの縁でしょうからね。 |
駿 | そうですね、競馬、とくに配合は 仮説の繰り返しですからね。 いまは実験かもしれないが、 山本オーナーの壮大な試みは、 いつか実を結ぶに違いないと思いますよ。 今回はディニーパーの仔がデビューするんだが、 実際にディープはつけたの? |
俊 | はい。昨年は残念ながら流産してしまいましたが、 ことしは男の子が誕生しました。 |
駿 | ホーッ、それは素晴らしい、良かったじゃないですか。 |
| (あしたにつづく) |