| アガ・カーン殿下の生産繁殖馬と ディープインパクトの“夢の配合” さて、可能性はどこまで拡がるのか? |
駿 | 山本オーナーが夢を託したマンダララと ディープインパクトの配合、 最初の年は残念ながら流産してしまったが、 ことしは執念が実って、牡駒が誕生した。 ヨーロッパ最強牝馬のマンデシャの半弟で、 しかもディープをつけることで彼女と 非常に近似したニックスを持つことになった。 夢が膨らみますね。 |
俊 | まだ当歳ですから、 デビューまで早くても2年以上あります。 これからどんな風に成長してくれるのか、 夢を膨らませるのは少々早すぎますよ(笑)。 |
駿 | ところで、ディープの初産駒は 来年の2歳ということになるんですけれども、 種牡馬としての彼の評価は未知数です。 期待された種牡馬が案外に終わったり、 それほどでもなかったのに、いざ使い出してみたら 重賞勝ち馬を続々と輩出したり、 人間の小ざかしい思いを軽々と 超えるようなところがあります。 配合の神秘といってもいいかもしれません。 しかし長年競馬を見てきた私の勘ですが、 ディープインパクトにはとんでもない大物を 出しそうな予感はあります。 それが山本オーナーのマンダララの仔で あるかどうかは、私にはわかりませんが。 |
俊 | ハッハッハッ(笑)。 そうですね、アガ・カーン殿下のように 狙って当てるというのは無理ですね。 |
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駿 | げすの勘ぐりと思っていただいていいんですが(笑)、 あのアガ・カーン殿下にして、 やっていることは山本オーナーと同じで、 仮説を立て、実験して、 その結果を検証してみるという繰り返しで、 失敗もずいぶんと多かったと思いますよ。 |
俊 | それはそうだと思います。 でも殿下と私では仮説のレベルも違えば、 やっている実験の質も量も月とスッポンです。 比較すること自体が失礼ですよ。 |
駿 | 山本さんも牧場をやればいいんですよ。 オーナーブリーダー、こういう人たちが増えると、 日本の競馬もグーンと深みを増すと思いますね。 |
俊 | いやいや、とんでもありません。 そんな力や知恵はとてもありません。 私が自家繁殖馬を持つのは、 そういうところに理由があるわけじゃありませんから。 |
駿 | といいますと? |
俊 | たとえばキングマンボにこだわっている というお話をしましたが(第16回参照)、 彼は高齢のせいか種付け数が年々減っています。 産駒がセリに出てきても、 ゴドルフィンとかアラブ勢を中心に 競りまくるから非常に高額になってしまいます。 とても買えませんよ。 |
駿 | なら、自分で自分の繁殖につけようと 発想の転換をしたわけですね。 |
俊 | そういうことになりますね。 まぁ、権利を手に入れるだけでも大変なんですが、 みなさんの応援をいただきながら 細々とやっていますよ(笑)。 |
駿 | そうした山本オーナーのチャレンジには 藤澤和雄調教師のジャッジというか アドバイスも相当に大きくて 深い影響力を及ぼしているわけですね。 |
俊 | はい、間違いなくそうです。 藤澤先生と私とは“夢のパートナー”だって、 勝手に思っています。 私の夢は先生の夢だし、先生の夢は私の夢、 それくらいの思いがあります。 |
| (あしたにつづく) |