酔いどれ対談
第5回
サドラーズウェルズにこだわった理由
 

 

日本の馬場にはまったく実績がない
サドラーズウェルズと
レインボークエストの仔を購入し、
山本オーナーの海外挑戦への道がはじまった。
「冒険も冒険、大冒険」と成駿さん。
はたして、チャレンジのゆくえはどうなるのか?

駿

3頭のサドラーズウェルズと
1頭のレインボウクエスト、
山本さんの海外挑戦が
ここからスタートするわけですね。

はい。

駿

それで結果はどうでした。


 

ダメでした(笑)。
散々でしたね。
サドラーの仔のナチュラルウェーブ
という馬は1勝どまり、
ミラクルショットはデビューが3歳4月と
遅かったせいもあるんですが、
結局、中央では勝てないまま地方にいきました。
レインボークエストのレインボージャックという仔も
デビュー2戦目の未勝利戦で
ケント(デザーモ騎手)に乗ってもらって
東京の芝1800mで追い込んで
1馬身半差の2着に頑張ったのが
最高の成績でしたね。
この3頭はすでに引退させました。
これを散々といわずして、
なにを散々というのか(笑)、
それほどひどかったですね。

駿

でも、サドラー三銃士の一角・
ミレニアムウイングは走っています。
山本さんの期待の10分の1にも
達していないと思うんですが、
オープン特別を楽勝したように力はつけています。

はい、頑張ってくれていると思います。

駿

先ほどいった日本でのサドラーの唯一の
重賞勝ち馬(G3ステイヤーズS)となった
サージュウェルズくらい、いや、
もっと走っていい馬だと見ているんですけれど。

ええ、でも脚元がいつもハッキリしなくて
使い込めない体質なんですね。
新馬戦を勝ってすぐに5ヶ月休養させて、
復帰したもののセントライト記念の後は
1年半以上の長期放牧に出しました。
現在も昨年8月から休養中です。

駿

そのかわり6歳になったのに、
まだ12戦(5-1-1-5)しかしていません。
馬体も若く消耗していませんよね。
4歳夏には札幌の2600mをレコードで走っている。
それに血統が素晴らしい。
まさに世界仕様の血ですよ。

血統はそうですね(笑)。

駿

一族に種牡馬のデヴィルズバッグ、
ラーイ、グランドオペラ、
ジャパンCを勝ったシングスピールがいますね。
これはたぶんミレニアムの祖母の
バラード(Ballade)が偉いと思うんだが、
母系を見ていくと十分にスピードもあるし、
日本適性も感じられます。
種牡馬としての可能性は豊かだと思っています。

さぁ、そこまではどうでしょう(笑)。
ただ、おっしゃるようにバラードの血は
インターナショナルなスケール感があります。

駿

そうですね。
ミレニアムの叔父にあたるデヴィルズバッグは
日本とフランスでG1を勝った
タイキシャトルを出しています。
従兄のラーイは山本さんの所有馬の
フライングアップルがG2スプリングSを制しました。
ラーイの半弟でサドラー系のシングスピールが
ジャパンCだけではなく、
イギリス、カナダ、ドバイの計4カ国で
G1を勝っています。
種牡馬としてもG1安田記念のアサクサデンエン、
中山記念とマイラーズCの2つのG2を2回ずつ
勝っているローエングリンを出しています。
こうしたバラードの影響力を考えると、
単純にヨーロッパ血統だと
決めつけられないと思いますね。
山本オーナーは、そこまで見て、
そして考えて馬を買っていらっしゃるんですね。

はい。ただ、ミレニアムはどうも父方の
サドラーの血が色濃く出たようで、
重い芝でパワフルに走るタイプのようですね(笑)。

駿

山本オーナーの理想は、
単にヨーロッパでグレードレースを走る
ということにとどまらず、
日本でも通用する馬、
つまりマルチユースな血統を
追い求めているわけですね。

先々の大きな目標はヨーロッパでも、
まず日本で走ってくれないと
話がはじまりませんから。

 

理想は、日本でもヨーロッパでも走る血、
山本オーナーがそこにこだわる理由は…?
明日につづきます。

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