| 日本の馬場にはまったく実績がない サドラーズウェルズと レインボークエストの仔を購入し、 山本オーナーの海外挑戦への道がはじまった。 「冒険も冒険、大冒険」と成駿さん。 はたして、チャレンジのゆくえはどうなるのか? |
駿 | 3頭のサドラーズウェルズと 1頭のレインボウクエスト、 山本さんの海外挑戦が ここからスタートするわけですね。 |
俊 | はい。 |
駿 | それで結果はどうでした。 |
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俊 | ダメでした(笑)。 散々でしたね。 サドラーの仔のナチュラルウェーブ という馬は1勝どまり、 ミラクルショットはデビューが3歳4月と 遅かったせいもあるんですが、 結局、中央では勝てないまま地方にいきました。 レインボークエストのレインボージャックという仔も デビュー2戦目の未勝利戦で ケント(デザーモ騎手)に乗ってもらって 東京の芝1800mで追い込んで 1馬身半差の2着に頑張ったのが 最高の成績でしたね。 この3頭はすでに引退させました。 これを散々といわずして、 なにを散々というのか(笑)、 それほどひどかったですね。 |
駿 | でも、サドラー三銃士の一角・ ミレニアムウイングは走っています。 山本さんの期待の10分の1にも 達していないと思うんですが、 オープン特別を楽勝したように力はつけています。 |
俊 | はい、頑張ってくれていると思います。 |
駿 | 先ほどいった日本でのサドラーの唯一の 重賞勝ち馬(G3ステイヤーズS)となった サージュウェルズくらい、いや、 もっと走っていい馬だと見ているんですけれど。 |
俊 | ええ、でも脚元がいつもハッキリしなくて 使い込めない体質なんですね。 新馬戦を勝ってすぐに5ヶ月休養させて、 復帰したもののセントライト記念の後は 1年半以上の長期放牧に出しました。 現在も昨年8月から休養中です。 |
駿 | そのかわり6歳になったのに、 まだ12戦(5-1-1-5)しかしていません。 馬体も若く消耗していませんよね。 4歳夏には札幌の2600mをレコードで走っている。 それに血統が素晴らしい。 まさに世界仕様の血ですよ。 |
俊 | 血統はそうですね(笑)。 |
駿 | 一族に種牡馬のデヴィルズバッグ、 ラーイ、グランドオペラ、 ジャパンCを勝ったシングスピールがいますね。 これはたぶんミレニアムの祖母の バラード(Ballade)が偉いと思うんだが、 母系を見ていくと十分にスピードもあるし、 日本適性も感じられます。 種牡馬としての可能性は豊かだと思っています。 |
俊 | さぁ、そこまではどうでしょう(笑)。 ただ、おっしゃるようにバラードの血は インターナショナルなスケール感があります。 |
駿 | そうですね。 ミレニアムの叔父にあたるデヴィルズバッグは 日本とフランスでG1を勝った タイキシャトルを出しています。 従兄のラーイは山本さんの所有馬の フライングアップルがG2スプリングSを制しました。 ラーイの半弟でサドラー系のシングスピールが ジャパンCだけではなく、 イギリス、カナダ、ドバイの計4カ国で G1を勝っています。 種牡馬としてもG1安田記念のアサクサデンエン、 中山記念とマイラーズCの2つのG2を2回ずつ 勝っているローエングリンを出しています。 こうしたバラードの影響力を考えると、 単純にヨーロッパ血統だと 決めつけられないと思いますね。 山本オーナーは、そこまで見て、 そして考えて馬を買っていらっしゃるんですね。 |
俊 | はい。ただ、ミレニアムはどうも父方の サドラーの血が色濃く出たようで、 重い芝でパワフルに走るタイプのようですね(笑)。 |
駿 | 山本オーナーの理想は、 単にヨーロッパでグレードレースを走る ということにとどまらず、 日本でも通用する馬、 つまりマルチユースな血統を 追い求めているわけですね。 |
俊 | 先々の大きな目標はヨーロッパでも、 まず日本で走ってくれないと 話がはじまりませんから。 |
| 理想は、日本でもヨーロッパでも走る血、 山本オーナーがそこにこだわる理由は…? 明日につづきます。 |