| 日本でもヨーロッパでも走る 理想の血統とは…? そのためにはなにが求められるのか? 成駿さんが、その謎を解き明かします。 |
駿 | まず、日本で走らないと話がはじまらない ということですが、それはどうしてですか? |
俊 | これも藤澤先生から教わったことなんですが、 デビュー戦に日本で下ろさないと、 それ以降は招待レースでもないかぎり 日本で走ることができなくなるんです。 |
駿 | JRAも少しずつ国際化していますが、 まだいろいろと閉鎖的な レギュレーション(規制)が残っていますからね。 |
俊 | ちょっと寂しいですね(笑)。 それに日本のファンの方々にも申し訳ない。 私も藤澤先生もJRAの一員ですから、 日本の競馬を盛り上げる義務がある と思っています。 その観点からも私の馬に日本で素晴らしい パフォーマンスを見せてもらわないと、 意義ある貢献ができないことになります。 |
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駿 | カジノドライヴを、アメリカから 帰国間もないジャパンCダートに使ったり、 ドバイにいく前にあえてフェブラリーSを 走らせたようにですね。この参戦で 両方のレースが大いに盛り上がりました。 山本オーナーは大きな貢献をしたと思いますよ。 |
俊 | ありがとうございます。 そういっていただけると非常にうれしいです。 それと、なぜ日本で走らせるか ということについては、 もうひとつ理由があります。 |
駿 | それは…? |
俊 | ヨーロッパであれ、アメリカであれ、 それぞれの国のさまざまなレースには、 ひとつひとつに歴史があり伝統があります。 その国の方々、とくにホースマンは、 そうした歴史や伝統をとても大事にして、 レース自体を尊敬し、誇りを持っています。 |
駿 | そうですね。 私はアメリカ競馬を観戦によく出かけるんですが、 たとえばケンタッキーダービー、 あの勝利オーナーに対する賞賛というか 尊敬はすごいですね。スタンド前では、 みんながスタンディングオーベーションで出迎える。 もう全米のスーパーヒーロー、名士ですよ。 イギリスのチャーチル首相が “一国の宰相よりもダービーオーナーになりたい” といった言葉が実感としてよく分かります。 |
俊 | ええ。ですから、 そうしたレースにふさわしい、 恥ずかしくない実績を日本で積んで、 あちらに乗り込まないと失礼になります。 |
駿 | なるほど。 しかし、それは大変なことですよ。 藤澤調教師が山本さんに “海外挑戦って口でいうほど簡単じゃないよ” と釘を刺した話を先ほど聞きましたが (第1回をご覧ください)、 こうしたとんでもなく難しい問題が、 それこそゴロゴロ転がっているよ、 ということだったんですね。 |
俊 | そうですね。 藤澤先生のおっしゃるとおり、 私の想像をはるかに超える難しさですね。 ちょっと甘く考えていた自分が恥ずかしくなります。 |
駿 | そうして、キチンと反省するのが 山本さんの大きなところですね。 感服させられます。 |
俊 | ビジネスの世界ですと、 ある程度は先を予測して 戦略を考えたりできるんですが、 競馬は本当に難しい(笑)。 その難しい競馬で予想をやってらっしゃる 清水さんは本当にすごいですね。 |
駿 | ハッハッハッ。 いや予想家というのは、 山本さんと同じで反省と研究がすべてなんですよ。 予想が当たることが 予想屋のプライドじゃないんです。 |
俊 | えっ、そうなんですか? |
駿 | そうなんです(笑)。 レースが終わりますね、 当たることもあれば外れることもあります。 でも、大事なのはレースが終わった瞬間に、 なぜそうなったかをキチンといえることなんです。 そうでないと次がない。 だからプロの予想屋としての私のプライドは そこにあるんだ、といつもいっています。 |
俊 | たしかに競馬のレースって、 展開とかペースとか何十とおりも、 何百とおりも考えられますよね。 馬の気分もあるし、 騎手の心理も重要なファクターになってきます。 そうした細かいファクターを加えていくと、 たぶん天文学的な数になる 複雑なケースが想定できますね。 |
駿 | ハッハッハッ。 いや予想家というのは、 山本さんと同じで反省と研究がすべてなんですよ。 予想が当たることが 予想屋のプライドじゃないんです。 |
| 予想家と競馬オーナーには共通点があった。 なにごとにも反省と研究が大事。 さて、成駿さんと英俊さん、 おふたりの研究と反省はどこに向かうのか? |