今ではあり得ない上下関係が厳然と存在していた遠い昔の競馬。 | |
―― 松永調教師は、現役騎手の頃は、レース中に声を出す方でしたか? | |
松永 | 危ないときはもちろん声を出してましたけどね。 |
四位 | 幹夫さんは、ジェントルマンですからね(笑)。 ぼくなんか、どちらかというと、 怒ったらすぐにテンションが上がったり、 逆に落ち込んだら、 すぐにシュンとなっちゃうほうなんですけど、 幹夫さんは精神的に安定しているというか、 いつも同じ感じでしたね。 |
松永 | そういうわけでもないと思うけど(笑)。 でも、最近の競馬はスマートになったと思いますよ。 「どけー!」なんて大声を出すジョッキーって、 イマドキいないんじゃない? |
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四位 | ええ、そうですね。 昔はひどかったですけどね(笑)。 |
松永 | ひと昔前は、所属厩舎に必ず兄弟弟子がいる、 というのが普通でしたからね。 そういう時代は、もっと強烈だったみたいですよ。 兄弟子から声をかけられたら、 進路を開けてやるとか、 ムチ落としたときに、弟弟子に 「ムチを貸せ!」 って言う人までいたとか、 話には聞いたことあります(笑)。 |
四位 | まあ笑い話みたいなものだと思いますけどね(笑)。 でも、いくら先輩の命令とはいえ、 貸す方も貸す方ですよね(笑)。 |
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松永 | ほんとに(笑)。 でも、昔と今では、いろいろ変わってきてますよ。 昔は、騎乗数も成績も、 ある程度、平均化してましたけど、 今は、ものすごく勝つ人もいれば 全然勝てない人もいる。 差が激しくなってきてますよね。 厳しい時代ですよ。 |
―― そんな厳しい状況の中で、四位騎手はもう少しで1200勝。 | |
松永 | ぼくの数字なんて全然ですよ。 |
四位 | そんなことないですよ。 ぼくも1400勝まで、あと200勝ぐらいですけど、 ここからが大変です。 若手もいっぱい出てきてますし、 あと、年とともに、 騎乗馬が減ってきているも事実なんですよ。 「こういう馬だし、四位には頼めないな」 っていう感じで、幹夫さんもそうだし、 厩舎のみなさんが ぼくに気を使ってくださっている部分も あるんでしょうけどね。 |
松永 | こないだ、四位には 気性がちょっとおかしい馬に 乗ってもらいましたけどね。 |
四位 | あれ、レース終わってすぐ言いましたもん、 「これ、もう上げちゃったほうが いいんじゃないですか?」 って(笑)。 |
松永 | 言ってたな(笑)。 |
(明日につづく) 14時に更新します |