栗東トレセンにある武田作十郎(注1)厩舎内に備えられた住居で 生活していた、少年時代の武豊騎手。 彼にとって、いつも身近にいる競走馬たちは、どんな存在だったのでしょう。 |
武 | もしかすると、普通の人が犬や猫に対して持つ、 愛するペットたちへの感情に、近いものがあったかもしれません。 朝は、厩舎にいる馬たちにニンジンをあげてから、学校に行っていましたね。 |
哲 | 一頭、一頭の顔と名前は覚えていたの? |
武 | はい、ちゃんと覚えていましたよ。 それで、お気に入りの馬とかができて、 そういう馬は、ニンジンをやるときでも、ちょっと贔屓していたんです(笑)。 学校の友達が家に遊びに来て、かくれんぼをするときは、 馬房に入って、馬の陰に隠れたりしていましたね(笑)。 |
|
哲 | ぼくの場合、“何かスポーツをやれ” と、父親には言われていて、 小学生時代は、ずっと柔道と野球をやっていた。 そこにゴルフが入ってきたのが、小学生4年生ぐらいのとき。 で、1年ほど経ったときに、 “もし、ゴルフを続けるなら、毎日練習しなきゃダメだぞ” と、 父親に言われた。 |
武 | そのときから、将来はゴルファーになろうと考えていたの? |
哲 | いや、最初はイヤイヤ練習をやっていたんだよね。 ところが、イヤイヤでも毎日練習していると、確実に上手くなっていく(笑)。 それで、中学生になったときにゴルフ一本に絞って、ジュニアの大会に出た。 丸山(注2)や、伊沢さん(注3)とも戦ったのだけど、 出る大会、出る大会、全部勝てたんだよね。 まあ、今考えると、自分にとって、いちばん強い時期だった(笑)。 プロになろうと決心したのは、高校3年生のとき。 大学行くより、プロゴルファーの道を歩もうって。 その頃は、プロになることに対しても、 凄く自信を持っていたことは、確かだよね。 |
|
| (金曜日更新の第5回につづく) |
| |
| (注1) 武田作十郎調教師は “人づくりの名人” と讃えられた名伯楽。 弟子には、武邦彦、河内洋、そして武豊という錚々たる名騎手たちがいる (注2) 丸山茂樹プロ (注3) 伊沢利光プロ |
| |
| 武豊騎手のオフィシャルサイトへはこちらからどうぞ! |