知恵の言葉

悪条件、走り抜けるは先行馬(中編)

ことにダートの悪条件の際は、
逃げ、先行馬を中心にしたレース展開が考えられることになる。
つまり、やや重や重なら、
多少オーバーペースで逃げても、スピード競馬にもち込める
理由はあとで説明するが、こうなると逃げ馬、先行馬が有利になるのだ。
では、なぜ、やや重や重のとき、逃げ馬や先行馬が有利なのか?
「脚抜きのいいスピード競馬なら追い込んでもとどくはずだ」
と思えるが、さにあらず。
ここがいってみれば“盲点”なのだ。
一般的には、逃げ馬や先行馬が好走するのは
スローペースのときといわれている。
逆にハイペースで逃げれば、直線でバテてしまい、
追い込み馬のエジキになるともいわれている。
しかし、走破タイムが速いときは上がりタイムは平凡で、
上がりタイムが速いときは走破タイムは平凡になる。
つまり、一瞬の脚をつかう追い込み馬がとどく展開というのは、
走破タイムが平凡なときなのである。
ダートのやや重や重では走破タイムが速くなるので、
追い込み馬は追いつけないのだ。
ゆえに、ダートのやや重や重は、逃げ馬や先行馬が中心なのである。
オグリキャップは、89年の第9回「ジャパンC」を
世界レコードタイで駆けぬけ2着になったが、
そのときの走破タイムは2分22秒2で、上がりタイムは36.4秒。
要するに、走破タイムはバツグンだが、上がりタイムは平凡。
それでも2着になったのは、
追い込んだのではなく先行差しの競馬をしたからなのだが、
リクツはこれと同じなのである。
ところで、悪条件でのハイペースの逃げがわかっているなら、
「騎手がそれに対応するハズ」
と、考えるムキもでてこよう。
しかし、追い込み馬は、道中で余力を残し、一瞬の脚をつかうように仕込まれている。
いきなり速い脚をつかうのはムリなのだ。
その点、先行タイプの馬は、一瞬の脚はつかえなくても平均的に脚をつかえる。
こうした先行馬のペースに追い込み馬があわせていると、余力がなくなってしまう。
要するに、やや重や重のとき後ろからいく馬は、
ハイペースの先行馬についていくと、なしくずしに脚をつかってしまい、
直線で追いつけなくなってしまう。
逆に、逃げ馬や先行馬はハイピッチで逃げるのだから、
当然、追い込み馬と同様バテるが、それを走破タイムが補ってくれるのだ。
また、やや重や重の際、これとは別に逃げ馬や先行馬が有利になる材料がある。
それは・・・


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東邦出版発行『知って得する競馬の金言』より
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