少頭数レースの買い方には、ひとつの大事なセオリーがある。
競馬は、先行馬に主導権があることは確かだ。
だが、有利・不利という観点から見ると、
先行馬が有利なのは多頭数のときなのである。
多頭数の方が展開の“まぎれ”が多く、
少頭数ではこの“まぎれ”がほとんどないため、
先行馬よりむしろ差し馬の方が有利になるのだ。
「少頭数は先行馬が有利」ではなく、「少頭数は差し馬が有利」。
すなわち、「少頭数は差し馬が軸」というわけだ。
さらに詳しく説明しよう。
ここに16頭立てのレースがあるとする。
仮にそのうちの半分の8頭が先行脚質とすれば、
出遅れない限り、この8頭は先団に位置し、
その後に差し馬、追い込み馬がつづく。
すると、先頭からシンガリまで
10馬身~16馬身のなかにおさまることになる。
3コーナーから4コーナーあたりで勝負にでて、
ゴールまでになんとかしようというのが競馬だから、
この場合は、9番手にいる馬は
前を走っている8頭を抜くことで1着になり、
12~13番手あたりに位置している馬は、
少なくとも10頭以上抜かなければ上位入着はない。
しかし、前を走っている先行馬が、
後ろから追い込んでくる馬に対して
「さあ、どうぞ」と道をあけるはずはないし、
先行馬同士、1頭でも抜こうと横に広がったり、
インを突いたりする。
また、バテて後退する馬もでてくる。
そういったワケで、あとから行く馬には、
勝負どころでいろんな障害がついてまわる。
先行馬をさばいて「さあ」と思ったときにはもうゴール寸前。
何頭かの先行馬はすでにゴールインなんてことになっていたりする。
また、どんなに先行馬がいたとしても、
その馬がそろって先陣争いをすることはないし、
前を走りたいからと、先行馬が全部、横一列に並んで走ることもない。
それぞれ間隔があき、タテ長になってレースは展開するものだ。
であれば、ますます多頭数レースは追い込み馬にとって
乗り越えなければならない障害が大きい。
しかし逆に、少頭数レースでは、このハンデが激減するのだ。
「平穏な少頭数レースは追い込み馬が軸」なのである。
・・・次回は「追い込み馬のブリンカー装着は危険」をお送りします。
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東邦出版発行『知って得する競馬の金言』より
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