パドックというのは、ある意味では馬の診察室でもある。
体型の良し悪し、その日の状態の良し悪しとともに、
その馬の病気を発見する場でもあるのだ。
そのパドックで、ファンにいちばん目につき、
馬券の上でも気になるのは、おそらくバンテージだろう。
相撲とりではないが、痛々しい印象をうける。
レース中に骨折してしまうのでは…という気持ちにかられたりもする。
「バンテージ」は多くの場合、
「この馬、脚部不安あり」のサインと見ていい。
ただし、骨折の要因にはならない。
バンテージの中でも「裂蹄バンド」といって、
蹄をきつく巻いているものがあるが、
これは蹄が割れやすいためで、「裂蹄バンド」がきかず、
レース中に血を噴きだして引きあげてくる馬もいる。
それ以外は、骨のまわりの筋肉、
腱などの保護のためにバンテージをつけることが多い。
馬の脚部の故障でとくに有名なのが、「屈腱炎」で、
これは一流馬ほどかかりやすいエリート病である。
一流馬、つまりキック力の強い馬というのは、
そのリアクションとして肉がついていない腱が痛んで膨れあがる。
その症状を「屈腱炎」というが、
海老の腹のように膨れることから、俗に「エビハラ」とよばれている。
この「屈腱炎」にかかると、競走馬にとってダメージが大きい。
トップスピードで走ることはできないし、
その個所を気にして、フットワークもバラバラになる。
おおむね競走馬として使いものにならないが、
それでも走らせる場合は、交突を防ぐためにバンテージを巻いてくる。
これは当然のことながら前肢に巻く。
後肢にバンテージを巻いている場合も、やはり交突を防ぐためだが、
こちらのほうはむしろ、弱い馬に多い。
走るバランスが悪いために交突を起こすもので、
腰の力が弱く、トモの力がついていない馬がそうなりやすいといわれている。
これらのほかに、最近はファッションの一部として
バンテージを巻いている馬も少なくない。
この場合は、4本の脚すべてに膝下まで長く巻き、
使われているバンテージもカラフルなものが多い。
もちろんこれもケガの予防には役立つわけだが、
べつに脚が痛かったりするわけではないのである。
・・・続きは火曜日の更新をお待ちください!
東邦出版発行『知って得する競馬の金言』より
HPへはこちらからどうぞ!