だが、ブリンカーをつけても逃げない馬もいる。
他馬がそばにくるとおびえたり、
他馬のフットワークが目に入ると自分のフットワークを忘れたりと、
馬群の中でじっとチャンスをうかがったりすることのできない馬がいるが、
こういう馬にブリンカーをつけて視野を遮断すれば、
マイペースを守らせることができ、鞍上の手綱のみに集中させることができる。
こういう馬は逃げないし、逃げられないともいえるのだが、
つまりは“もまれ弱い”馬のブリンカー装着の例である。
また、後方から追い込む馬でブリンカーを着けている場合があるが、
これも同じような意味あいだ。
典型的な追い込み馬というのは逃げ馬でもあり、
どちらもそばに他馬がいると走る気をなくしてしまうタイプで、
ダッシュ力の違いが「逃げ」「追い込み」の両極端に分かれさせている。
ブリンカーの効果という点でいえば、逃げ・先行馬は効果大だが、
差し・追い込み馬はあまり効果がないといっていい。
とくに重馬場になったときは、差し・追い込み馬の場合、
飛んできた泥がスッポリとブリンカーにはまり、
片目走行になってしまう危険もあり、これでは力の出しようがないというものだ。
ブリンカー装着の追い込み馬は「気が小さくて、はぐれ者」。
どうしようもないヤツなのである。
他にもいくつか装着物がある。
「引き返し」は、首の使い方がヘタな馬がつける。
スピードをあげるためには首が重要な推進役を務めるが、
それがうまくできない馬にこれをつけて、
強制的に首の上下運動を起こさせるわけである。
「ハミ」は当然、どの馬もつけているものだが、
これにも特殊型があり、鞍上との折り合いがむずかしい馬がこれをつける。
鼻先をしばったり、舌と下顎をしばっている場合もある。
最後に、なにげなくついている尻尾の赤リボン。
これは「この馬、けとばします」のサイン。
人間さまにも必要かな・・・?
・・・次回は「馬を見る前に人を見よ」をお送りします。
火曜日の更新をお待ちください!
東邦出版発行『知って得する競馬の金言』より
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