知恵の言葉

"一杯追"の休養明け馬は買い(前編)

新馬や休養明けの馬の取捨選択は、やっかいなものである。
調教タイムがその仕上がり具合を示すバロメーターにはなるが、
絶対的な要素ではない。
厩舎のコメント。これもある程度のファクターにはなる。
「もうひと追いほしい」とか
「あと1週あれば、カンペキなんだが・・・」
といったような弱気のコメントが普通ではあるが、
それが正確かというと、とんでもない。
弱気の馬がしぶとく粘ったり、直線一気にすっとんできたりする。
逆に、強気の馬が馬群に沈んでしまったりする。
情報信ずべし、信ずべからず、である。
厩舎関係者にしても、
「走ってみなければわからない」
ということが多いのだ。
担当者から本音が聞ける立場にいる新聞記者も、
似たり寄ったりのようなものだ。
自分の予想と実際のレースでの結果がまったく違い、
真っ青ということもしばしばだ。
何本追い切りがあればいいのか。こんな質問も見当違いである。
調教タイムは数字で表記されるから錯覚するが、
レースでの走破タイムとは違って
“横並べ”できる性質のものではないのである。
また、基準となるタイムも定かではない。
まあ、ごく一般的にいえば、
速いタイムの調教はたしかに“買い”の材料ではある。
実戦並みのタイムをだせば、
レースでもその程度はだせると考えられるからだ。
だが、これだけで「勝てる」
決定的な要因とはならない
それに、こういう馬は、だれにでもわかるから人気にもなる。
馬券的に妙味がないし、そのプレッシャーが凡走にもつながりかねない。
それでは、どうしたらいいか。
少しむずかしいが、
未出走馬や休養馬はその調教タイムを
言葉で読むのである。
もっとも、新聞によってはスペースの関係で
新馬戦の調教タイムを少ししか載せない場合もある。
こんなときは、良心的に調教タイムを掲載する新聞にきりかえる。
そして、タイムを言葉で読むのだ。
軽目なら「15~15」ではじまる。
5ハロンからいったとすると、
75秒0~60秒0~45秒0~15秒0ということになる。
これは新聞社が掲載する調教タイムの限界である。
これ以上遅いタイムは、調教タイムとみなされない。
こんなタイムならあってもなくてもいいようなものだが、
ところがどっこいなのである・・・

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東邦出版発行『知って得する競馬の金言』より
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