厩舎をひとつの企業として捉えるとすると、
そこに所属する馬たちは営業マンである。
彼らがタフに走り、
稼ぎだしてくるカネが企業に利益をもたらすのだ。
こうしたことから、
厩舎の人事配置ならぬ馬配置が効率よくできていれば、
どんどん利益を生みだすことになる。
強い馬づくりは、ホースメンの理想である。
しかし、自厩舎の馬がすべてオープン馬だった日には、
同じレースに自分のところの馬が何頭も出走したり、
使うレースも限定されてしまう。これではきわめて効率が悪い。
その道の専門家に聞くと、
企業の人材構成は次のようになっているという。
1割・・・有能で利益効率の高い人材
5割・・・マジメでタフな人材
1割・・・きむずかしいが、天才肌、職人肌
1割・・・スケープゴートとしての人材
2割・・・以上の人たちを引きたてるためのどうでもいい人材
厩舎の馬構成も、これとだいたい同じである。
オープンクラス、準オープンクラス、
中堅、下級条件とバランスよく配置できれば、
毎週、効率よく出走させることができ、カネも稼げる。
われわれファンは、とかくオープンクラスばかりに目がいきがちだが、
中堅、下級条件馬というのは、企業の縁の下の力もち的存在の
マジメでタフな人材にあたる重要な存在である。
オープン、準オープンクラスの馬は、出走できるレースが限定され、
出走する際にも細かな配慮が必要になってくる。
よく走る馬ほど繊細でこわれやすいのである。
夏休みはあるし、どこかに不安があればすぐに休養をとらせる。
1年中、コマネズミのように稼働させるワケにはいかないのである。
“1年を○日で過ごすいい男” なのだ。
そこへいくと、中堅、下級条件馬はまったく過酷。
ミスター労働者に気遣いなんか無用とばかりに
中1週・連闘といった感じで走らせる。
状態がいいとか悪いとか以前の問題なのである。
要するに、走れる状態ならば、もうどんどん走らせるのだ。
当然、弱いクラスだから、
成績が上がらなくてもいっこうにさしつかえはない。
なにしろ、おカネだけは入るのだから。
われわれファンにはまったく無縁だが、
8着までに入れば、タイムオーバーや失格事項がない限り、
入着賞金が入ってくる額は、1着賞金とくらべれば微々たるものだが、
チリもつもればなんとやら。集まれば相当な金額になる。
そして・・・
・・・続きは金曜日の更新をお待ちください!
東邦出版発行『知って得する競馬の金言』より
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